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Shaker History 3 (合理的な家や納屋) 
 
前回は、シェーカーのシンプルな家具について少し触れました。
今回は、歴史も混ぜながら家屋の説明をしましょう。
 
マザー・アンが亡くなってからも、シェーカーは信徒数を増やしていきました。北はメイン州、南はフロリダまで全部で22のコミュニティができました。(注:このコミュニティ数をどう捉えるかは諸説あります。)最盛期の1840年代には6000人までその数を増やしました。
 
シェーカーたちは、ほとんど自給自足の生活を送っていましたが、それでもやはり、「外の世界」との交流は必要でした。また、「外の世界」の人たちもシェーカーたちの生活に興味があったようで、折があれば礼拝などのシェーカー見学に訪れていました。そういうわけで、シェーカーコミュニティ内に「外の世界」人用の購買場所が設けられ、シェーカー内で作られたものが売られていました。シェーカー製品は高品質との評判が高く、多少高い値段でもよく売れていたようです。現在、唯一残っているシェーカーコミュニティーがメイン州に残っています。(このメイン州のコミュニティーについては、章を改めてシェーカーの存続是非のなかで述べます。)ここを訪れる人たちは、昔のように「外の世界」人用購入場所で、シェーカーの育てたハーブ類等を購入することができます。
 
そこを訪れた人たちは、納屋の構造の巧みさにも驚くでしょう。土地の高低差を利用して、労力を極力抑える工夫がされています。
 
ここでは、マサチューセッツ州のハンコックにあるコミュニティを例にとりましょう。
 

 
この写真は、石造りの納屋です。何で円形なのだろうと思いませんか。外から見ても非常に大きいのですが、中に入ると息をのむばかりの大きさです。2階が飼料を置く場所、そして1階が牛のいる場所です。牛は、ぐるりと円をかくように繋がれています。そして、中央部分から餌が上からおりてきます。つまり、下にいる牛に餌をやるときは、上から飼料を落とせばよいわけですから、それほど労力の必要はないことになります。実は、1階の下にも階があって、そこは、牛の落し物を集める場所となっています。そして、それは土地の高低差を利用してすぐに外に掻き出されるしくみに作られています。
下の写真は、上の写真の納屋を後方からみたものです。

 

 

シェーカーの建物内に足を踏み入れると、いたるところで効率化の工夫がされていることに驚くでしょう。ニューハンプシャー州のカンタベリー・コミュニティに行くと、巨大な引き戸がたくさん整然と置かれている場所があります。現在、引き戸の中身はからです。これは、実は、洗濯物を乾しておく引き戸だったのです。何百人というシェーカー教徒が居住していた場所ですから、勿論、食事や洗濯も大規模になります。ちょっと考えただけでも、洗濯物を乾かす場所は広くとらなくてはいけないことは想像できます。冬は外に洗濯物をほすことは到底無理な厳寒地ですから、室内で乾かさなくてはいけません。すると、干し場所確保に頭が痛いところです。ロープを張ればいいじゃないか、という方もいるでしょうが、そこは端正な美しさを重んじたシェーカーのことです。頭を使いました。普段洗濯物を干しているときは外から見えないようにたくさんの引き戸を作ったわけです。

 

また、これは当時のシェーカーではよくあった例ですが、食堂と台所をつなぐ「エレベーター」もみかけます。時間交替で食事をとったとはいえ、一度に食事をとる人数は非常に多かったはずです。そうなると台所と食堂をいったり来たりする作業は大変になってきます。特に、食堂と台所の階が違う場合にはなおさらです。そのため食事、食器類を上から下に、下から上に移動させる「エレベーター」が作られました。ここにも省エネに工夫がされているのがわかります。

 

省エネは、いつの時代でも大切ですね。

 

省エネに関連しますが、シェーカーたちの家屋には、その当時の最新技術が、生活の労力を省くもの、便利なものであるならば真っ先に使われました。新しもの好きのシェーカー、と世間ではいわれていました。外の世界と遮断していたようで、実は、シェーカーたちは自分たちの生活を豊かにできるものであれば積極的に「外の世界」の最新技術を取り入れていたのです。たとえば、水洗式の洗面台やトイレもシェーカーたちは普及するやまっさきに導入しています。また、電気や車等も同様です。幼少時にカンタベリー・シェーカーで育った元シスターの言葉が忘れられません。「もしシェーカーたちがコミュニティーを昔のように保っていたら、きっと一人一人の部屋にインターネットを導入したコンピューターが置かれているでしょう。」

 

ロウソクをともす生活を、ひっそりとしているシェーカー。

 

シェーカーをしたう現代の人たちにはそのようなイメージがありますが、それは、多分、昔を懐古する、一般人の一方的なノスタルジアに過ぎないのでしょう。

 

次回は、シェーカーの生活様式です。

 

(3月11日 2008年)