裏庭散歩 自然探索 2月 七面鳥
2月。山はまだ雪と氷に覆われています。動物たちは雪の中でお腹をすかせて木の芽も食べつくした深い森の中からひょここりと人里しかくまで出てきます。何か食べるものはないかと。村人たちの中には、若芽を食べられたと怒る人もいますし、まぁ、お腹がすいているんだから仕方がないじゃないかとゆっくりと笑う人もいます。
新雪の上には、無数の足跡が残っています。それをたどっていくと、ここが鹿の昨夜の寝床だったのだなとか、おやおや昨夜はここで集会でもしていたのかな、と思う場所にでくわします。
ここで興味深いものを載せましょう。
この写真をよくみると、左右対称の何かが雪上に刻まれていることがわかります。両端の長さを測ってみると、1メートル40センチありました。
ぴんときた人は、よほど鳥のことに詳しい方でしょう。
種明かしをすると、これは野生の七面鳥の羽ばたきのあとです。この写真の上部に足跡がついています。これは七面鳥の歩いたあとです。この写真には載っていませんが、この羽ばたきから約5メートル離れたところに、着地か離陸かどちらかの跡が残っています。七面鳥が飛ぶときは、身体が大きい鳥なのでびっくりするほどの音と光景です。
野生の七面鳥は大抵群れをなしています。大体、この群れが来るときは遠くからでもわかります。とてもうるさいのです。こんなに大きな声を無作法に出していたらコヨーテや山猫にすぐわかって捕まって食べられてしまうじゃないかと心配するのは、それが人間の発想だからでしょう。みるからに愚鈍な顔をしている七面鳥は、そんなことは皆目気にしていないようです。以前、親子の群れが草原に隣接する林にいました。10羽ほどいたでしょうか。夕方になると大音響をたて、高い木に飛び乗ってそこで夜を過ごしていました。子供の鳥も、何とかぱたぱたと必死で木に飛び乗る努力をしていました。しかし、それは子供のこと。
日を追うごとに、子供の数が減っていくのがわかりました。最後には、成鳥をのぞくと、わずか数羽の幼鳥が残るのみ。森を徘徊するコヨーテや狐、いたちに食べられてしまったに違いありません。それは、森の自然のなせるわざ。誰かを食べないと生きていけない動物たちがすんでいる世界です。
羽の跡は、生きているしるし。たとえ死んでしまっても、森の中の再生は思いのほか、早いようです。どんなところにも、生命はあり、滅び、そしてまた生命は芽生えます。
春浅い雪上に、生命の兆しをみつけた2月中旬のエピソードです。
写真は、雪の上にのこる、けものたちの足跡。
(2008年3月7日)